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2023年9月議会

■「指定文化財建造物等の防火・防災対策について」

川越市内では今年に入り「加藤家住宅」「板倉家」の2つの歴史的建造物が火事により消失してしまったことから、指定文化財建造物等の歴史的建造物への防火・防災対策について取り上げました。


ポイントは3点 ●歴史的建造物は個人所有が多く、対策も個人負担のため補助を推進すべき。 ●仮に損壊してしまった場合に備え、詳細な図面の作成を推進すべき。 ●再建を想定すると高額な保険が必要なため、保険への補助ができないか。


■歴史的建造物はほとんどが個人所有(市が直接対策できない)


・指定文化財建造物は61件中25件 ・景観重要建造物は58件全て ・都市景観重要建築物は27件全て ・伝統的建造物は136棟中126棟が個人所有


個人所有の歴史的建造物への防火・防災対策は所有者の意向に依る部分が大きく、また、一般的な建造物への対策よりも高額になることも想定されます。さらに、歴史的建造物への防火・防災対策には補助金が用意されていますが、景観重要建造物・都市景観重要建築物・伝統的建造物において補助の申請や実績はゼロであることがわかりました。そこで、◆防火・防災対策の補助メニューを周知し、少しでも多くの歴史的建造物に更なる防火・防災対策を講じていただけるように推進すべきと提言しました。


■仮に災害等により損壊してしまった場合、その建物がもつ文化的・歴史的な価値を引き継ぐ(再建した建物を引き続き指定する)ためには、いかに損壊前の状態に忠実に再建できるか否かにかかっておりますが、現状、忠実に再建するために必要な詳細な図面は6つの指定文化財建造物以外には作成されていない状況がわかりました。(図面がないものを再建しても文化的・歴史的な価値は引き継げない)そこで、◆再建・復元のための設計図としてのみならず、文化的・歴史的資料としても詳細な現況図の作成を推進すべきと提言しました。


■個人所有の歴史的建造物に対する保険の状況についても確認をしたところ、指定文化財建造物は85%、それ以外は80%の加入であり、約15%から20%は保険未加入であることもわかりました。(加入率はアンケート調査の回答者のみの結果から)また、加入している保険の補償内容については、「同等の規模の一般的な木造建造物が再建できる程度の補償」が多く、「現在の指定文化財建造物等と同等の建物が復元される程度の補償がある」という回答は1件のみでした。保険に加入する際には建物の価値が考慮されますが、歴史的建造物は一般的な建造物とは全く別の視点の価値を有しており、単純には価値を算出できないことから、いざ何かあった際に適用される保険が想定通りにならないことも危惧されます。さらに、仮に再建する場合には高額な費用が想定されることから、それを補償してもらえる保険も大変高額になることが推察され、個人で歴史的建造物に対して充分な保険を備えておくことには限界があると思われます。そこで、◆個人所有の歴史的建造物に対して市による包括的な保険の加入や保険への補助はできないか提言しました。

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